ブリュッセル・シューマン地区に立つ欧州委員会本部。建物前のEU旗の数は、英国の離脱後も28本だ(2024.5現在)
欧州委員会本部の前にはベルリンの壁の一部が設置されている。向こう側はEU首脳会議や僚理事会が開かれるヨーロッパ・ビル。この地位にはEUの機関が多数集まる(2018.10)。
シューマン地区のロア通り沿いに立つビルには、「未来はヨーロッパ」というメッセージが描かれている(2024.5現在)。2010-2020年代の通貨危機や英国の離脱、ウクライナでの戦争などによりEUの求心力低下が指摘されるが、EUや統合を抜きに欧州の将来が語れないのもまた事実である。
シューマン地区に隣接する場所には欧州議会の関連施設が集中する。2024年6月の欧州議会選の前には、投票を呼び掛けるキャンペーンが繰り広げられていた(2024.5)
同地区ではEUや世界の世論に訴えるデモも頻繁に行われる。写真は1990年代の旧ユーゴ紛争時に、平和への働きかけを求めて行進する人々(1991.9)。
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ブリュッセル中心部から東に2キロほどのシューマン地区には、EUの機関が多数集まる。欧州委員会本部と委員会関連のビル。EU首脳会議や閣僚理事会の拠点、欧州議会の関連施設。そして加盟各国の代表部や、ロビーストのオフィスなどが並ぶ。EU機関で働くEU官僚は、数万人ともいわれる。
ヨーロッパを語るとき、ドイツやフランスなど個々の国だけでは理解できない。EU域内は人やモノの動きが自由な「国境なき社会」になっており、多くの国では単一通貨ユーロを利用する。貿易交渉や環境規制などはEUが主に担う。
世界の経済や政治問題に対し、ドイツ、フランスやベルギーなど個々の国が発言しても影響が限られる(時には無視される)が、EUとしての発言ならば影響は大きい。特にネット時代のITルール作りや、地球温暖化への対応ではEUが世界の議論をリードする(ただしウクライナでの戦争など安全保障問題では影響力は限られる)。
既存の主権国家とも、国連など国際機関とも違うEUは、組織や機能も複雑で理解しにくいところもある。ただし、世界を語る上で重要な存在であることは論を待たない。シューマン地区の風景からは、EUの断面が色々うかがえる。(2024.6)
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